最近、お取引先の企業で新しい従業員が入社しました。
これで毎日忙しく飛び回っている社長にもゆとりができると、私も大変喜んで入社の手続きをさせていただきました。
新しい従業員の方は、しっかりした感じの方でした。
ところが一月もしないうちに従業員の方から、「突然ですが、退社することになりました。」と直接連絡をいただきました。
「やむを得ない家庭の事情」というのが退社の理由でした
慌てて社長に電話をすると、「こっちも突然で驚いています。後のことはそちらにお任せします。」と、少し声を荒らげておっしゃいました。
社長と従業員の声の様子から、退社の理由が表向きであることは容易に察することができました。
そういえば従業員が入社した頃、忙しい社長と「なかなか連絡が取れないんですよね…。」と、つぶやいていました。
仕事を進めていく上でコミュニケーションが不足していたのかもしれません。
ある程度信頼関係が築ければ、コミュニケーション不足を解消する方法も見つけられたのでしょうが、従業員は信頼関係を築くまで待てなかった、あるいは信頼関係を築く時間の長さに早々と見切りをつけてしまったのかも知れません。
私はこれまで、比較的規模の大きい事業所と仕事をすることが多かったのですが、最近は中小・ベンチャー企業が中心です。
規模の大きい事業所の場合、直接経営者や従業員と接する機会は少なく、人事労務担当者と業務を進めていくケースが殆どです。
しかし、中小企業や創業間もないベンチャー企業にとって、人事労務担当者を配置することは容易ではありません。
そこに、我々のような業務を行う者の必要性もあります。
そして悲しいかな、経営者と従業員の間でトラブルがあったときこそ、お役に立てる存在でもあります。
今回のケースでは、中小ベンチャー企業にとって我々の存在は、単に手続きや経営コンサルタント的なアドバイスを行う者にとどまらないということを示唆してくれました。
間に入ってコミュニケーションをとりながら、お互いにとってよい方法を探していく仲介人としての役割も期待されているんですね。
その後、双方と個別に連絡を取りながら退社の手続きを進めていきました。
どのような仕事にもコミュニケーション力は必要ですね。
あらためて仕事のヒントを教えていただいた出来事でした。